長期優良住宅の認定を受けることで様々なメリットが存在します。
ただ、国で定められた基準をクリアする必要がありますので、単に認定が取得したいと言っても取得できるものではないということを理解する必要があります。
今回は、長期優良住宅の認定を受ける基準とメリットについて説明します。
特にメリットについては知っていて損することはないですし、今後の経済状況を考えると認定を取得することでご家庭の経済負担を減らすことができますので、参考にしてください。
長期優良住宅とは
長期に渡り住宅を長持ちさせるために国で定められた基準をクリアした住宅となります。
認定を受けるためには7つの基準をクリアする必要があります。
・耐震性
地震に強く、倒壊のおそれが少ないこと
・省エネルギー性
地球や家計にやさしくエコであること。
・維持管理更新の容易性
リフォームやメンテナンスが容易であること
・劣化対策
構造や骨組みがしっかりしていて、長く住めること
・住戸面積
必要な広さが確保され暮らしやすいこと
・居住環境
地域の街並みなどに調和していること
・維持保全管理
定期点検や補修の計画がされていること
長期優良住宅の取得方法
施主とハウスメーカーで作成した基準を満たすプランを住宅性能評価機関に提出し、合格したあと発行された適合証を所管行政庁に申請し認められることで認定を受けることができます。
また、住宅性能評価機関に提出せず、直接所管行政庁に申請する場合もあります。
この場合、所管行政庁が住宅性能評価機関に申請された内容の適合性を委託しています。
長期優良住宅を取得するかどうかで長期優良住宅の基準を満たす設計や手続きが変わってきますので、家作りの初期で認定を受けるかどうかをハウスメーカーに伝えてください。
後から「やっぱり取得したい!」となると設計を1からやり直す必要が出てきますので、最初に決めておいてください。
長期優良住宅の認定条件
上記で7つ基準をクリアした説明しましたが、基準について詳しく見てみましょう。
耐震性
稀に発生する大規模な地震に対して、建物の損傷レベルを抑え、継続利用するための改修工事が容易であること。
以下のいずれかを満たしている必要があります。
一般的な住宅は1番の耐震等級2が基準になります。
1.耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)等級2(新築住宅)の基準に適合
※等級2とは、建築基準法で想定されている1.25倍の地震でも倒壊しないこと。
2.耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)等級1(新築住宅)の基準に適合し、かつ安全限界時の層間変形を1/100(木造の場合1/40)以下とすること。
3.品確法に定める免震建築物であること。
省エネルギー性
断熱性能などの省エネルギー性能が確保されていること。
省エネルギー対策等級4をクリアしていることが条件となります。
省エネルギー対策等級4とは省エネ法で規定されている次世代省エネルギー基準になり、市区町村毎に基準が異なっています。
地域毎の基準については、以下を参照ください。
維持管理更新の容易性
建物自体の耐用年数と比較して耐用年数が短い内装や設備の維持管理を容易に行うための措置がされていること。
ここでの維持管理は、清掃・点検・補修・更新を指しています。
要約すると、長く居住するために建物の耐用年数に合わせて設備や内装を維持してくださいねということです。
劣化対策
建築後に適切や措置を行い、数世代にわたり住宅の構造躯体が使用できること。
新築・改築においては、100年程度は継続して使用できることを求めています。
以下の基準を満たしている必要があります。
点検口については、本来設置されるべきものなので特段難しい基準ではありません。
・劣化対策等級3(新築住宅)の基準に適合し、かつ構造の種類に
応じた基準に適合
(木造・鉄骨造)
床下空間の有効高さ確保及び床下・小屋裏の点検口設置など
(鉄筋コンクリート造)
水セメント比を減ずるか、かぶり厚さを増すこと
住戸面積
長期に渡って良好な居住水準を継続するため必要な規模を満たしていること。
戸建ての場合、床面積の合計が75㎡以上で最低でも一つの階の面積が40㎡以上であることが求められている。
ただし、地域の実情を勘案して所管行政庁が別に面積を定める場合には、その面積に引き下げ可能。
居住環境
住宅は街並みの一部となるため、調和を乱さぬよう良好な景観の形成その他の地域における居住環境の維持及び向上に配慮されたものであること。
基準については所管行政庁毎に基準が異なっている。
維持保全管理
長期に渡って継続使用するために定期的に点検・補修等が計画されていること。
計画する項目は以下になります。
・水の浸入を防止する部分
・給水・排水の設備
また、最低でも10年ごとに点検を実施する必要があり、地震時及び台風時にも臨時点検を実施することと定められています。
長期優良住宅のメリット
次に長期優良住宅を取得することでのメリットを見てみましょう。
※2017年7月現在のものになりますので、閲覧時期によっては控除額などが変わっている可能性がありますので、ご了承ください。
詳しくは、ハウスメーカーやお近くの役所にてご相談ください。
住宅ローン減税
控除限度額が一般の住宅 2000万円に対して、長期優良住宅は3000万円までとなります。
また、10年間の最大控除額も一般の住宅 200万円に対して長期優良住宅は300万円と優遇されます。
所得税の減税
長期優良住宅を取得するために強化した費用上限500万円の10%をその年の所得税より控除されます。
控除しきれない分は翌年に控除されます。
ちなみに本来、所得税の減税は住宅ローンを組んだ時となりますが、長期優良住宅は住宅ローンを組んでいなくても対象となります。
不動産取得税の減税
一般の住宅が1200万円に対して長期優良住宅は1300万円の控除となります。
不動産取得税は以下の計算で算出されます。
不動産取得税額=(課税標準額-控除額)×税率
これを長期優良住宅に置き換えると以下の計算方法になります。
不動産取得税額=(課税標準額-1,300万円)×3%
固定資産税の減税
固定資産税の減税(税額の50%減)期間が一般の住宅 3年に対して、長期優良住宅は5年になります。
固定資産税は以下の計算で算出されます。
固定資産税額=住宅の固定資産税評価額×1.4%×0.5
この0.5という減税の期間が長期優良の場合、2年間延長されているということになります。
フラット35 の住宅ローン金利優遇
フラット35S商品が選択できるようになります。
フラット35Sは省エネルギー性や耐震などの要件を満たした住宅を取得することで借入金利の優遇を受けられる制度です。
長期優良住宅の注意点
長期優良住宅を取得するためには基準を満たす構造・設備にしますので、建築費がコストアップします。
住宅の設備が良くなるので、デメリットとはなりませんが、予想以上に予算を超えてしまっては、月々のランニングコストを考えると取得は望ましくありません。
また、申請は無料ではなく数万円~数十万円(メーカーや設計事務所マージン含め)掛かりますので、申請費用も入ってくることも念頭に置いておいてください。
まとめ
長期優良住宅は建築費や申請料などコストアップしますが、それに見合うだけの減税というメリットがあります。
認定を受けるためにはハウスメーカーに長期優良住宅を取得する旨を家作りの初期段階で伝え、基準に沿った設計を行う必要があります。
気になる建築費ですが、長期優良住宅にすることでいくらコストアップについては各ハウスメーカー・工務店によって異なりますので、事前に相談する必要があります。
おすすめなのは一括で見積を取得できるタウンライフで一般住宅の場合と長期優良住宅の場合の2パターンをもらうことです。
そうすることで、予算との兼ね合いで長期優良住宅にするかどうかやどこのメーカーに依頼するか検討できます。
素晴らしいマイホーム生活を送るために、ぜひ活用してみください。